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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(あ)1817号 判決 1960年5月26日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人岸星一の上告趣意第一点は憲法二八条違反を主張するが、そのいうところは、原判決の所論炭労規約五五条の解釈の誤りを指摘するに帰し、単なる法令違反の主張に外ならないものであるから刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(原審の認定した事実関係は、被告人の行使した威力は、当時争議行為に加わっていなかった職員等の出勤に対して行使されたというのであり、かかる行為が威力妨害罪を構成するものであることは当裁判所累次の判例の趣旨に徴し疑いを容れないところである。昭和二七年(あ)四七九八号、同三三年五月二八日大法廷判決、集一二巻八号一六九四頁。昭和三一年(あ)三〇六号、同三三年六月二〇日第二小法廷判決、集一二巻一〇号二二五〇頁参照。所論の点に関する原判示はあらずもがなの説示とみるべきであって、仮にその判断に誤りがあっても判決に影響を及ぼすところはない。)同第二点は違憲をいうが、原審の認定に副わない事実を前提とする単なる法令違反、事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。同第三点は違憲をいうが、実質は事実誤認、単なる法令違反の主張に帰し、同第四点は事実誤認、単なる訴訟法違反の主張に帰し、ともに刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

弁護人清源敏孝の上告趣意第一点は判例違反をいうが、引用の判例は本件と事案を異にする事項に関するものであって、本件には適切でなく、従って所論はその前提を欠くものであるから採るを得ない。(なおこの点の所論は弁護人岸星一の上告趣意第一点について記したように本件の判決としてはあらずもがなの説示に対する非難であって判決に影響のない事項に関するものであるから採るを得ない。)同第二点は違憲をいうが、事実誤認を前提とするものであり、原判決には事実誤認の認むべきものはないから、所論はその前提を欠くものであり、同第三点は単なる法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よって刑訴四〇八条により裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高木常七 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)

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